【PHOTOSHOP イラスト作成の参考例】
Contents
【色の塗り方参考】
■グリザイユ塗り
Photoshopを使っての色塗りの方法は人それぞれですが、色を塗るのが苦手な人や、色を試行錯誤しながら塗りたい という時に便利な塗り方のひとつを記載します。
デジタル塗りをしてる人で知らない人はいないと思われる「グリザイユ塗り」をもとに塗ります。
グリザイユ塗り(画法)とは、グレースケールで明暗を描いたあと、上から色味を加える技法です。もともと油画などの下書きの技法として使われていましたが、デジタルでも使用されるようになりました。どちらかというと絵画のような厚塗り画や柔らかい塗りに適しており、アニメ塗りなどカチッとした塗りにはあまり適しません(直接、色を塗った方が早い)。
【利点】
・明暗と色を別個に描くことで、色に惑わされることなく光の方向を意識して描ける
・作業の流れが「明暗決定→色決定」 というわかりやすい流れになる為、試行錯誤の時間が短く結果的に早い
・後から色の変更がしやすい など
【欠点】
・最後に色を塗るまでどんな仕上がりになるかわかりにくい。
基本の塗り方としては上記のようにグレー階調画像の上に別レイヤーで色を重ねます。
主には「オーバレイ」「ソフトライト」「ハードライト」等の描画モードを使います。
(レイヤー描画モードの種類がわかりやすく説明されているサイト:知ってるようで知らない、Photoshopの描画モードを全て解説![3/4])
■レイヤー描画モードの比較
グレー画像の上にかぶせるレイヤーによって結果が変わります。使用箇所によって使い分けます。
主なレイヤ種類を重ねた例↓(「通常」の肌の色が、重ねた色です。)
■グラデーションマップを使用する塗り方
上記は単色のレイヤーを重ねていましたが、ここでは「グラデーションマップ」という調整レイヤを使用した表現を紹介します。
グラデーションマップは、グレー階調の明暗によって色を当てはめていく機能です。単色のレイヤーを重ねるよりも表現の幅が広がります。
調整レイヤのボタンアイコンはレイヤーウィンドウの下にあります。
上記は黒色部分→白色部分に向けて、左から青、ピンク、赤、黄色、白っぽい色 に設定しました。
このように、明度によって色を変更することができます。
【グラデーションマップの適用のさせ方】
1.グレー階調のレイヤーを選択し、調整レイヤボタン⇒「グラデーションマップ」を選択。
するとグラデーションマップ というレイヤが出来ます。(プロパティが出ますが、一旦無視します。)
(↓プロパティ)
2.グラデーションマップを選択し、文字の所あたりをマウス右クリック、
項目から「クリッピングマスクを作成」を適用。
3.これで、グレー画像部分だけにグラデーションマップが反映されます。
4.先ほどのプロパティで、グラデーションカラーを変更しましょう。
【キャラクターの色塗りに使用した例】
キャラクターの肌と髪の毛にグラデーションマップを使用した例です。
↓光の当たる方向や影のたまっている部分を意識し、グレー階調で塗っておきます。この段階ではどうなるかわかりにくいですね。
↓髪の毛にも色を付けました。影になる部分には青を入れています。
↓この塗り方だと、色の変更はグラデーションを変えればいいだけなので後からの変更の自由度が高いです。
【イラスト作成の手順 例】
イラストの作成手順の例です。これは私の場合ですので、同じにする必要はありません。
あくまで参考として、自分に合った描き方を模索してください。
大まかには下記のように進行しました。
【手順】
1. 線画を描く 6.キャラクターの色塗りに使用した例 |
1.線画を描く
今回は魚をモチーフにした乗り物 というイメージが先にあったので、それをもとにキャラクター性やボディのバランスを考えていきました。
機械ではあるけれどなんか自分で動きそうな感じ、ちょっと「おまぬけ要素」も入れたく、足はか細くこけそうでこけない、動いたときにちょこまかと足を動かしたりするのが面白いかと思いアイデアを膨らませました。また今後のバリエーションも考慮し、乗る人(猫)によってスポーティタイプな目(ライト)にしたり、羽じゃなく腕にしたり、足をタンクに変えたり、膨らませられるようなものにしました。
二人乗りも考えていましたが今回はこじんまり単座型にしました。
下書きは鉛筆などアナログで描いてスキャンすることもありますが、今回はデジタルで直接描き始めました。
私はデジタルで描くときは、いつもは下書きするときの線は赤、清書は青などの色にしています。今回は下書きの線をそのまま清書の線に整理していきました。ので赤です。
最終的には赤のままではありませんが、線にも色味を付けたいので何かしらの色で描きます。色は描くものによって変えます。
綺麗なラインを求めるのに、線を描いて消してを繰り返します。
またディテールを描いていると全体のバランスがおざなりになってくるので、全体の形状を常に意識します。
↓途中。デザインやバランスが違う箇所が多々あります。
途中段階↓ この後、魚(金魚)っぽい形を意識しつつ、もう少し丸みをつけました。
2.配色を決める
線画ができたら、色を決めるためにまずラフに色を塗ります。
色を変え様子を見るので、この時点ではまだグラデーションや混色はせずベタ塗です。
端っこに色見本を描いておきます。(左下にある丸い色群がそれです。)色を塗る時はそこからスポイトで色を抽出します。
色がしっくりこないときは イメージ>色調補正>色の置き換え で、色味を色々試します。
今回はオレンジ黄色をメインで、紫系の薄い青をアクセントカラーにします。
アクセントカラーは文字通りアクセントとなる色のことで、配色に動きを付け全体を引き締める色です。今回は補色系の青色を入れました。
キャラクターの配色の割合は70:25:5
キャラクターの配色の割合は70:25:5 がバランスがいい配色なのだそうです。 この配分にこだわる必要はありませんが、知識として覚えておいてください。 |
3.グレー塗りのレイヤ分け&グレーに階調を付ける
大まかな配色は決まりました。次は色を塗っていく下準備です。
まずはグレー単色で色を付けます。グレーは中間階調の RGB 128,128,128 です。
この時点で、色ごと(質感ごと)にレイヤーを分けます。今回は”フレーム部分”、”オレンジ部分”、”黄色部分”、”青部分”と分けています。分ける理由は、各色ごとにグラデーションマップの調整を行うためです。
上図の左上にあるグレー階調はパレット代わりに使用するものです。別レイヤになっています。
次にグレーに明暗を付けます。光が当たる部分、影の部分、また照り返しの部分なども意識して段階を付けます。
主に使っているのは、ブラシの他に覆い焼き、焼き込み、ぼかし、指先 ツールあたりです。
※ただ ぼかしなどを使いすぎると、全体にぼけた感じになってしまうのでやりすぎに注意しましょう。素人くさく見えてしまいます。
照り返しや回り込み(輪郭がほんのり明るい)表現は立体感を表現するのに効果的です。ただやりすぎると、最初の中間グレー(RGB128,128,128 )の部分がなくなってしまい、立体感や質感がおかしくなってしまいますので注意しましょう。
↑これは輪郭周りを"覆い焼き"で少し明るくし回り込みを表現しています。上記のような球の場合、一番暗い部分は、一番下(奥)ではなくその少し上(内側)あたり という感覚を意識すると立体感がでます。ただコントラストを強くしすぎると金属っぽくなります。
↑レイヤごとに明暗を付けます。分けて明暗を付けるのは難しい場合は塗った後分割しても大丈夫です。
4.レイヤごとにグラデーションマップを調整
次に各レイヤごとにグラデーションマップを割り当てていきます。
忘れた人は→【グラデーションマップの適用のさせ方】 に戻る
↓4つのグレーレイヤに分かれており、それぞれにグラデーションマップが割り当てられています。
レイヤ名はわかりやすい名前に変えておきましょう。後で困ることがなくなります。
↓黄色い部分はこんな感じ グラデーションマップ反映前と反映後
5.書き込み
影部分やハイライト、ディテール、その他もろもろ書き込みました。全体に引き締まったんじゃないでしょうか。
線画にもグラデーションが入ってます(ここまでの絵にも入ってました。)
線画の明暗や、影の部分にほんのり青みを感じさせることで、空気感を表現しています。
↓書き込み追加前
↓書き込み追加後
最初に書きましたが、この書き方が正解なわけじゃないので、自分なりの塗り方法を模索してください。